2026 年 6 月 23 日、大田原市芸術文化研究所で開催中の第 12 回ゲタ箱展(開催期間:6 月 13 日〜28 日)に行ってきました。
入場は無料で、芳名帳に記載すると図録ももらえます。
わたしは前職の印刷会社でゲタ箱展の印刷物制作を担当していた頃から、毎年必ず訪れています。
建物に到着して館内へ
大田原市芸術文化研究所には何度も足を運んでいますが、初めて訪れたとき、田舎に近代的な素敵な建築物が存在していることに大変驚きました。後で調べてみたら、建物は「都市環境建築設計所」というところが手がけたものだそうです。
信号もない田舎道を走ってくると、高台に近代的な建築物が見えてきます。大きな看板はないのですが、会期中は入口にゲタ箱展のポスターが用意されているので、それを目印に向かうと良いと思います。建物のすぐ隣が駐車場になっています。

屋根付きのエントランスがあり、そこにも大きな作品が 3 体ほど展示されています。入口は大きなガラスサッシで、外からも中の様子が見えて、開放的な作りになっています。
入口を入るとすぐに受付があるので、まずはここで芳名帳の記載をして、図録をいただきます。わからないことがあれば、受付の方に声を掛ければ大丈夫です。その後、靴を脱いで、用意されているスリッパに履き替えて館内へ入ります。
建物は天井が高く吹き抜けになっているので、とても開放感があります。内装には木材が多く使われていて、近代的な建築のなかにも温もりが感じられます。大きな窓からは外の木々も見渡せる、落ち着いた空間です。
ゲタ箱を作品展示に使う発想

スリッパに履き替えてすぐ、目の前のゲタ箱や壁に作品が展示されています。建物は 2 階建てですが、ゲタ箱展の展示は 1 階のみです。基本的にはゲタ箱の中に作品が展示されていますが、サイズや形によって中に入れられない作品は、ゲタ箱の上や壁、またはショーケースに展示されています。
ゲタ箱に作品を展示するという発想を初めて見たときは、「その手があったか!」と、良い意味で裏切られた感じがしました。
展示台を一つひとつ準備するのも大変ですし、コストもかかります。それを既存のゲタ箱に展示するなんて、発想自体がクリエイティブで面白いと思いました。
内田充さんの「馴れない猫」
わたしが一番楽しみにしていたのは、内田充さんの作品です。
内田さんは、栃木県彫刻造形協会にも作品を出展している作家さんです。わたしはこの美術団体の印刷物制作にも関わっていたので、内田さんが以前から遊び心ある猫の作品を数々制作されていることは知っていました。ゲタ箱展での作品も毎年楽しみにしています。ちなみに内田さんの「猫金庫」という作品を、わたしは過去に購入して部屋に飾ってあります。


今年の作品は「馴れない猫」というタイトルでした。猫の表情がとても細かく、生きている猫のような存在感があります。保護猫で去勢避妊済みであることを意味する「耳先カット」まで再現されていました。
タイトルの通り、どこか恐怖心や不安を感じているような仕草が作品に込められていて、見る角度によってもその不安の表情が変化するので、細かいこだわりにも驚きました。
二紀会の作家お二人
ゲタ箱の展示エリアでは、二紀会に所属する作家のお二人も出展されています。
渡辺ふくさんのピエロ

渡辺さんは、いつもは屋久島をテーマにした作品や、草花のマチエールを描く方です。そのため、ピエロを描かれたことにまず驚きました。
ですが、どことなく渡辺さんの特徴でもある「何かをプラスする」要素がしっかりと残されていたので、やはり渡辺さんの作品だなと微笑んで見ていました。
背景の朱色はとても鮮やかで美しく、マチエール独特の質感と色のグラデーションがあるため、ピエロのミステリアスな印象が少し柔らかく感じられました。
株田昌彦さんの補給塔

株田さんは、緻密に描かれる構造物の作品が多い作家さんです。今回の作品もそのスタイルを引き継いで、しっかりと細かく描かれていました。いつ見ても、どうやって描いているのか不思議に感じるくらい繊細です。
どこか懐かしく、でも未来的なイメージの絵画は、いろんな想像をしながら眺めることのできる作品です。冷たい無機質の構造物の中に、密かに隠れている温かみのあるものを探しながら、つい時間を忘れて眺めてしまいます。
田中 茂先生からのご縁
ここで紹介した二紀会のお二人は、Lee Loo に出展してくださっている 田中 茂先生 と同じ団体に所属されています。
もとを辿れば、田中 茂先生とのご縁から、ここまでたくさんの作家さん・作品と出会うことができました。
ご縁は不思議なもので、必要なときに必要なご縁が結ばれるのでしょうか。最近は、Lee Loo をスタートさせることになるご縁が、わたしの知らない時から繋がっていたのだと思うのです。
Lee Loo の Artists ページ では、田中 茂先生をはじめとする出展作家をご紹介しています。
後編では、ゲタ箱展のほかの作家と、大田原市芸術文化研究所そのものの魅力をお伝えします。

