Lee Loo に出展してくださっている 田中 茂 は、「二紀会」という美術団体の彫刻部委員として長年活動されています。
Lee Loo の出展作家で二紀会に所属しているのは 田中 茂 お一人ですが、わたし自身は印刷会社時代を通じて、二紀会所属の作家の方々と個人的に長くご縁をいただいてきました。だからこそ、この団体を Lee Loo キュレーターとしてご紹介したいと思っています。
彫刻部門では、栃木ゆかりの会員 が毎年二紀展で受賞しています。地方支部の一つに過ぎない栃木から毎年受賞者が出るのは、栃木の彫刻家の層が全国的にも厚いことの一つの根拠だと思います。
二紀会とは
二紀会(にきかい)は、1947 年(昭和 22 年)に設立された美術団体です。
「第二紀」という名には、戦後にあらたな美術の第二の紀元を画する という意図が込められています。設立時に掲げられた「二紀会主張」5 項目のうち、印象的なのは「具象・非具象を論じない」「流行によって時代を誤ることを極力避ける」「創造的な個性の発現を尊重する」の 3 つ。ジャンルの新旧や流派ではなく、作家一人ひとりの個性を大切にする姿勢が、今も受け継がれています(二紀会公式サイト・二紀会史)。
現在の規模は 委員 118 名、会員 167 名、準会員 303 名。全国に 37 支部があり、栃木には 栃木二紀会 の支部があります。
なお、名前が似ている 二科会(にかかい/1914 年設立)とは別団体です。二紀会は絵画・彫刻の 2 部門構成、二科会は絵画・彫刻・デザイン・写真の 4 部門構成という違いがあります。
彫刻部門 ── 陶彫の系譜と、栃木の彫刻家たち
彫刻部門は、1951 年に設置され、以来、多くの彫刻家をこの舞台から送り出してきました。
歴史を遡ると、彫刻部門と陶彫のあいだには深い縁があります。辻晉堂(1958〜1964 年 彫刻部委員)は、セメントや鉄を素材に戦後の抽象彫刻を切り拓き、1950 年代からは陶彫による抽象作品で国際的に評価された作家です。1957 年サンパウロ・ビエンナーレ、1958 年ヴェネチア・ビエンナーレに陶彫作品を出品しています(東京文化財研究所 辻晉堂)。
その後も陶彫作品で活躍する作家を輩出してきた歴史があり、Lee Loo が扱う 田中 茂 も、この彫刻部で長年活動されている一人です。
田中先生の二紀会での歩みは、1984 年 第 38 回二紀展で奨励賞を受賞後、2002 年 会員推挙、2012 年 委員推挙、そして 2022 年 第 75 回記念二紀展で「第 75 回記念大賞」を彫刻部門で受賞 されるまで、確かな歩みを続けてこられました(二紀会公式サイト 田中 茂ページ)。
わたし個人がご縁をいただいてきた二紀会の作家たち
ここからご紹介するのは、Lee Loo の出展作家ではなく、印刷会社時代の仕事や地域の展覧会を通じて、わたし個人がご縁をいただいてきた二紀会所属の作家の方々です。
彫刻部:日原公大、稲葉守、森戸重臣、改鉄成、市村多眞美、徳田哲哉、川島史也、角谷琴音
絵画部:赤羽カヲル、田中定一、小林一行、株田昌彦、渡辺ふく、松本功全、平川玲奈
ゲタ箱展で作品を拝見した方も、印刷会社時代に印刷物制作を通じて出会った方も含まれます。それぞれ異なる表現をされていますが、いずれも二紀会の展覧会や地方支部展「栃木二紀展」でも作品にふれることができます。
二紀展 ── 会場でしか分からない、大きさと細部
二紀会の主要展覧会「二紀展」(にきてん)は、毎年 10 月に東京・六本木の国立新美術館 で開催されます。絵画・彫刻あわせて約 1,000 点が並ぶ大規模な公募展です。
見どころは、公募展という性格から、一般の方の応募も多い こと。プロの作家だけでなく、個人個人の異なる感性を、一度に会場で体感できます。
そしてわたしが二紀展で毎回感じるのは、オンラインでは決して伝わらない、会場でしか分かることがある ということです。
大きな作品の前に立ったときの物理的な迫力は、写真では再現できません。近づけば、手作業でここまで細部を彫り込めるのかと驚く箇所も見つかります。作家自身のコメントが作品脇に掲示されている場合もあり、制作の背景がその場で分かります。
そしてなにより、開催会場の 国立新美術館そのものが建築物として素晴らしい 場所です。会場に足を運ぶこと自体が、二紀展を訪れる大きな理由の一つになると思います。
これだけ多様な作品が並ぶので、初めて絵画や彫刻を鑑賞する方にとっても、自分が「素敵だな」と感じる作品に出会える確率はとても高い と思います。初めての美術鑑賞のきっかけとしても、二紀展はおすすめです。
二紀会を、暮らしの近くに
Lee Loo に出展してくださっている田中先生の作品を扱わせていただいていること、そして印刷会社時代から二紀会所属の作家の皆さまに仕事の機会をいただいてきたこと。この二つの縁が、わたしが二紀会を Lee Loo でご紹介したい理由です。
もし興味を持たれた方は、毎年 10 月の二紀展(国立新美術館)、あるいは栃木の方は「栃木二紀展」にもぜひ足を運んでみてください。会場でしか味わえない、作品の迫力と細部を実際に確かめられます。
Lee Loo からは、二紀会 彫刻部の 田中 茂 の作品を、これからも大切にお伝えしていきます。田中先生のプロフィールは Artists 一覧 からご覧いただけます。
── Lee Loo 恭子

