これまで Lee Loo では、二紀会に所属する作家の方々や、栃木二紀展のレポートをご紹介してきました。ですが、「そもそも二紀会とは、どんな団体なのか」を正面からお話ししたことはありませんでした。
わたしは前職の印刷会社時代、仕事を通じて二紀会の担当としても関わってきました。今回は、その経験も交えながら、二紀会という美術団体についてお話しします。
二紀会とは
二紀会(にきかい)は、1947 年(昭和 22 年)に設立された美術団体です。
「第二紀」という名には、戦後にあらたな美術の第二の紀元を画すという意図が込められています。設立時に掲げられた「二紀会主張」には、「具象・非具象を論じない」「流行によって時代を誤ることを極力避ける」「創造的な個性の発現を尊重する」といった言葉が並びます。
ジャンルの新旧や流行ではなく、作家一人ひとりの個性を大切にする。この姿勢が、設立から今日まで受け継がれています。扱うのは、絵画と彫刻の 2 部門のみです。

二紀会ならではの空気
たくさんの美術団体がある中で、二紀会にはどんな特徴があるのか。わたしが感じるのは、職人気質という言葉がしっくりくる空気です。
派手さはありません。けれど、純粋な美術界の実力派や研究者が集まっている。時代とともに流行はありますが、二紀会の作家たちは、その流行を追うのではなく、純粋に作り手として、自分の作品と向き合っているように感じます。
展覧会では、講師と作家が現場で語り合うギャラリートークが開かれることもあります。そして、次の世代の作家を育てるという教育にも力を入れているようです。技術を磨き、受け継いでいく。そんな真摯さが、二紀会にはあります。
二科会との違い
ここで、名前がよく似た二科会(にかかい)との違いについても触れておきます。この二つは、しばしば混同されます。
大きな違いは、表現の方向性です。
二科会は、前衛的でカラフル、多様な素材を好む傾向があります。素材も形も自由奔放で、見ていてワクワクする、現代アート寄りの表現。芸能人が所属することでも知られ、華やかさがあります。
一方の 二紀会は、重厚な伝統素材や、人間の本質の探求を重んじる傾向があります。ブロンズや木と向き合い、時間をかけて技術を磨き上げていく本格派です。

同じ美術団体でも、大切にしているものの方向が違います。どちらが優れているという話ではなく、それぞれに惹かれる人がいる、ということだと、わたしは考えています。素材も形も自由な二科会の表現にワクワクする人もいれば、じっくりと技術や在り方に向き合う二紀会の作品に心を寄せる人もいる。わたし自身は、後者に惹かれてきた一人です。
変わりゆく二紀会
とはいえ、二紀会も少しずつ変化しています。
近年は、若手作家の活躍もあってか、ミクストメディアなどを活用して表現する作家も多くなりました。硬派な本格派という土台を保ちながら、新しい表現の風も取り入れている。それもまた、二紀会の今の姿です。
先日ご紹介した栃木二紀展でも、伝統的な素材の作品から、素材を組み合わせた新しい作品まで、幅広い表現に出会えました。

作品と、本質に向き合う場所
二紀会は、流行を追わず、作り手と作品にまっすぐ向き合う美術団体です。
流行に左右されず、技術を磨きながら、一つの作品とじっくり向き合っていく。そんな二紀会の作家たちの作品には、時間をかけて味わうほどに見えてくるものがあります。
Lee Loo でご紹介している 田中 茂 も、この二紀会の彫刻部で長く活動されている彫刻家です。田中 茂の作品は、Artists 一覧 からご覧いただけます。そして毎年 10 月には、全国の作家が集まる二紀展が、東京・六本木の 国立新美術館 で開催されます。実際に会場で、二紀会の作家たちの作品に出会えます。
機会があれば、ぜひ二紀会の作品に、じっくりと向き合ってみてください。
── Lee Loo 恭子

