作品を選ぶとき、わたしの中にはひとつの問いがあります。
「この作品は、どういう姿勢で、ここに在るのか。」
なんとなく「在る」のではなく、「在り方」のある作品を。それが、Lee Loo のキュレーションの、静かな軸になっています。
言語化できる作家さんとの、ご縁
Lee Loo にお迎えする作家さんを選ぶとき、わたしがいちばん大切にしていることがあります。
自分の作品に対して、コンセプトの軸をしっかりと持っていること。そして、その想いを言葉にできること。
作品はかたちです。でも、かたちの奥には必ず、作家の思想や姿勢が宿っています。それを自分自身で言語化できる方と向き合うとき、わたしは Lee Loo の想いと照らし合わせながら、ご縁をいただけるかどうかをじっくりと考えます。
と同時に、正直に言えば――わたし自身の心が動くかどうか、ということも、大きな理由のひとつです。理屈ではなく、「この作品が好きだ」「この人柄に惹かれる」という感覚。そういった出会いのご縁を、大切にしていきたいと思っています。
作品に向き合う、複数の視点
はじめて作品に出会うとき、わたしはできるかぎり、あらゆる角度から見るようにしています。
絵画であれば、絵の具の層や質感――マチエールと呼ばれる、表面の表情を。市販の絵の具ではなく、自ら顔料から絵の具を作る作家もいます。その選択のひとつひとつに、作家のこだわりと姿勢が現れています。
彫刻であれば、360度から眺めます。いちばん美しい角度、いちばん見てほしい部分への表現のこだわりを、体で発見するように。
そして、作品を観るだけでなく、作家さんとの対話を大切にします。会話を通して、Lee Loo の想いと合致しているかを、ゆっくりと確かめていきます。
たとえば、「化けそこなった狸」をテーマに作品を作り続けている作家がいます。完璧に化けることのできない狸。そのすこし不完全で愛嬌のある存在に、彼にしか表現できない独創性を感じました。どの作品にも漂う温かみと滑稽さは、出会った瞬間から忘れられないものになりました。
Lee Loo が扱わないもの
ひとつ、お伝えしておきたいことがあります。
Lee Loo は、量産できる作品の取り扱いをお断りしています。大量に生産できるものは、どれほど美しくても、このギャラリーの文脈には馴染みません。
ただし、シリーズ作品であっても、ひとつひとつ表情が異なるものは別です。同じシリーズでも、二つと同じ顔を持たないものには、それぞれの「在り方」があると思っています。
Lee Loo に並ぶ作品は、すべて世界にたった一点のもの。それは単なる希少性ではなく、作家の手と想いが、唯一無二のかたちとして結晶した証だと、わたしは信じています。
「立体」という選択
オンラインでアート作品を購入できるサイトは、いくつか存在しています。その多くが扱うのは、絵画やデジタルアートです。
Lee Loo がとくに力を入れたいのは、彫刻などの「立体」作品です。
わたし自身、これまでは絵画などの平面作品を鑑賞することがほとんどでした。でも立体と向き合うようになって、気づいたことがあります。木彫や陶彫の質感は、絵画よりもずっと豊かに、手で触れるように感じられる。そして不思議なことに、自宅に飾ったとき、生活の空間にとても自然に馴染むのです。主張しすぎず、でも確かにそこに在る。そんな魅力が、立体にはあると思っています。
オンラインでも、その存在感をできるかぎり正直に伝えたい。Lee Loo がここにある理由のひとつは、そこにもあります。
存在感、ということ
「キュレーションの基準をひとことで言うなら」と自分に問うと、やはりこの言葉が浮かびます。
存在感。
ただなんとなく「在る」のではなく、「どういう姿勢・想いで存在しているのか」という在り方が、にじみ出ている作品に出会いたい。そして、そういう作品を、世界のどこかの誰かへ届けたい。
Lee Loo がお届けするのは、そういった作品たちです。
── Lee Loo 池田 恭子

