「彫刻」と聞いて、最初に思い浮かべるものは何でしょうか。
ミケランジェロのダビデ像、人物の古典彫刻、抽象的な形状で創造力を必要とするもの。わたしも以前は、彫刻とはそういうものだと思っていました。
そんなイメージが変わっていったのは、現代アートの彫刻には、わたしの想像以上の表現の自由さと温かみ、そして、愛嬌を感じるからかもしれません。作家によって材質も異なり、モチーフは動物や神様、創造上のものなど、それぞれです。もちろん作品によって質感も異なるので、時には作品の「眼」に吸い込まれるような感覚に陥ることもあります。だからでしょうか、ずっと観ていられる感覚があるのです。
印刷会社で彫刻と出会った日
わたしと彫刻のはじまりは、前職の印刷会社にあります。
そこでわたしは、陶彫(立体)を中心とした作家が集う美術団体の印刷物を担当していました。チラシ、ポスター、図録、DM。打ち合わせと撮影を重ねながら、作家さんたちと関わることが多くありました。
担当した美術団体は、4 つあります。
- 大田原市芸術文化研究所
- 日本陶彫会
- 一般社団法人二紀会(とくに「栃木二紀」と呼ばれる栃木県支部)
- 栃木県彫刻造形協会
どれも、栃木の芸術文化を支えてきた団体です。


その中で出会った作家さんたちは、美術教師をしながら彫刻家としても活動する方々が多くいらっしゃいました。
ベテランで、賞も受賞されている。ところが、これだけの方々の作品でも、一般の人が知るきっかけがほとんどないことを、わたしは仕事を通して知ったのです。
遅道と田中先生 ── バトンを渡してくれた人たち
「遅道(オソドウ)」── 今、この Lee Loo で写真家として活動している作家です。実は遅道は、前職の印刷会社の元上司であり、わたしのカメラの師匠でもあります。
そして、わたしが彫刻の世界に出会うきっかけを作ってくれたのも、遅道でした。
また、彫刻家・田中 茂先生と美術団体とのご縁を、わたしに繋いでくれたのです。
田中 茂先生は、日本陶彫会・二紀会・栃木県彫刻造形協会にも所属する彫刻家で、代表作に「化けそこ猫」「化けそこなった狸」があります。陶彫だけでなく、木彫の作品も手がけられています。


鹿沼市の粟野地区で毎年 11 月に開催される「あわのアートフェス(AWANO 夢咲く ART FESTIVAL)」── このフェスを立ち上げた発起人こそ、田中先生でした。今も運営する非営利団体の理事長を務めていらっしゃいます。

チラシ、ポスター、のぼり等の印刷物のほか、ホームページの管理。わたしが担当者として関わるどの美術団体にも所属している田中先生との信頼関係は、少しずつ深まり、個人としても、このアートフェスの実行委員に加わることになったのです。
田中先生は、わたしにとって ── Lee Loo にとっても ── 大切な根を支えてくださっている、特別な作家です。
「処分されていく作品」という現実
印刷会社で作家さんたちと関わるうちに、わたしはある現実を知ることになります。
作家活動を長くされている方々は、作品の処分に困っているということ。亡くなった後に処分されてしまうこともあれば、ご自身で少しずつ手放されることもある。
賞を取られた作家さんでも、残される作品はごく一部。寄附も、手続きが多くて簡単ではないのだそうです。
わたしがこの担当にならなければ、彼らの作品と出会うことはなかったと思うと、紛れもないご縁だと感じました。
それならば、
処分されるよりも、大切にしてくれる人の元へと作品を繋げたい。
それが、Lee Loo を立ち上げたわたしの正直な気持ちです。
Lee Loo は、ご縁の場所
Lee Loo は、ただ作品を販売するためのオンラインギャラリーではありません。
わたしが頂いたご縁を、もう一度、誰かのもとへとお届けする場所。それが Lee Loo です。
遅道がわたしにバトンを渡してくれたように。田中先生がわたしと美術団体を繋いでくれたように。次は、わたしが、Lee Loo を訪れてくださった方の暮らしに、ひとつの作品を繋げたい。
「立体作品って、こんなに自由で面白いんだ」と気づいてもらえる人を、一人でも増やしたい。
誰かの暮らしにも、その出会いを届けたい。
それが、Lee Loo が 立体作品を中心に扱うオンラインギャラリー になった理由です。
後編では、立体作品ならではの魅力と楽しみ方についてお話しします。
少しだけ、お時間を頂ければ嬉しいです。
── Lee Loo 恭子

